職人、ときどき神保町

都内周辺のコミュニティ、おススメの本、日常などを紹介します。

明日を思い描く

明日を思い描くこと

 

 

今日は、ひとりで任されたはずの仕事を外された。

 

理由は、その作業に欠かせない木材を置き場に忘れてしまったのだ。

 

そんなときに社長に言われた言葉が、今までの自分には足りない部分の核心を突いていたので、言葉で残しておきたい。

 

明日をイメージすること

 

 

外構の世界では、段取りが8割と呼ばれている。

 

 

明日は何をするのか、明日使う道具の準備、どういう手順で作業を進めていくのかを考える。

 

 

事前の段取り次第で、次の日の仕事がうまくいくかいかないか、決まってしまうのだ。

 

ましてや、外構という職業は毎日が違うといってもおかしくない程、多様なモノづくりをする。

 

明日のことをイメージして望まないと、どんな優秀な職人でも、作業がショートしてしまう。

 

 

今日、作業で必要な木材を忘れたぼくは、社長にこう言われたが心に残った。

 

 

「職人は道具がなければ、なにもモノづくりはできないんだ。道具があってこそ、なんだよ」

 

 

「ともくんは30パーセントの力で、仕事に臨んでいる。やれば出来るのに、やろうとしない姿勢がよくない」

 

この言葉を聞いて、自分の行動を思い返してみた。

 

すると、ぼくは明日のことを「これでいいや」というレベルでしか、イメージしていなかった。

 

 

ようするに、余力を残した状態で、明日を迎えていたのだ。

 

ふだん、私生活でも「将来はこうしたい、未来はこんなことをやりたいんだ」と考えていたような気がする。

 

しかし、今日の失敗からもっと、足元を見ることが大切なんだと気付く。

 

明日のことすら、思い描くことができないのに、どうして3年後や10年後を考える

ことができるのだろう?

 

まずは、明日のことを思い描く習慣をつけること。

 

 

明日の仕事のために準備する。まずは前日に、30分だけ明日のことを考えるだけでもいい。

 

 

ラーメンの職人でも、カフェの接客でも、営業の仕事でもきっとおなじこと。

 

 

 

全ては段取りが、8割なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『きっと、うまくいく』

 

 

 『きっと、うまくいく』

 

 

2009年にインドで制作されたコメディー映画。友達にススめられて、DVDをツタヤで借りてみたのだ。

 

 

 

公開当時、インド映画歴代興行収入1位を記録した大ヒット映画。

 

 

きっと、うまくいく(字幕版)
 

 

最初、友人に「おもしろい映画だから観てみてー」と言われて、ただの

コメディー映画だろうと僕は思っていた。

 

しかし、観てみると面白いだけでなく、『教育問題』もテーマになっていたのだ。

 

自殺問題

 

 

日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学が舞台。

 

エンジニアを目指す天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械より動物好きなファルハーン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの“三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させ、珍騒動を巻き起こす。

 

 

しかし、鬼学長は生徒がなにか問題を起こしたり、気に食わないことがあると退学処分を生徒自身に、電話やパソコンのメールから親に申告させる。

 

 

そのせいで、自殺してしまう生徒が出てしまったのだ。

 

 

 

この動画の最後に注目してほしい。

 

寮の薄暗い部屋で、生徒が縄で首をつっている。

 

この生徒の名はジョイ。

 

勉強よりも、リモコンで操作する小型の飛行ロボットを作ることに熱中していた。

 

ある日、ジョイは新作の飛行ロボットを学長に自慢すると、その場で両親に電話されて、退学を宣告されてしまったのだ。

 

「こんなロボットがなんの役に立つんだ!」と。

 

部屋に閉じこもったジョイを見かねた主人公のランチョー。

 

ランチョーは実用性があるカメラ付きの飛行ロボットを作って、ジョイの退学を取り消そうとしたのだった。

 

 

 

しかし、完成した小型飛行ロボットをジョイの部屋に飛ばしてみると。。。。。

 

 

 

学歴競争

 

 

「退学処分を受けただけで、自殺するか?」と思ったひとはいないだろうか?

 

なぜ、自殺する生徒がでてしまったのか。

 

その根底にあるのは、カースト制度

 

 

カースト」という言葉はポルトガル語で、「血統」を意味する。

 

カースト制度によって、どこの家庭で生まれたかで、将来自分が就ける職業も決まってしまう。

 

生まれたあとには、カーストは変えられない。

 

現在のカーストは過去の生の結果だから、受け入れて今の人生を生きるしかないのだ。

 

まさに、ヒンドゥ―教の根本的世界観の「輪廻転生」観によって、社会は成り立っている。

 

 

現在でも、南部の農村部にはカースト制度の名残があって、自殺に繋がる原因にもなっているのだ。

 

この映画の登場人物である「神頼みのラジュー」も、農村部出身。

 

 

貧しい家族の期待を背負って、大学に送り出されている。

 

ラジューは学校を退学になりそうになって、飛び降り自殺しようとした一人。

 

 

カースト制度が無くなってきてはいても、それでもいい職につくには難しい。

 

 

だからこそ、出世できるような企業に入ってもらうために、息子を良い大学に進学させる。

 

 

その家族からのプレッシャーから、自殺してしまう生徒が出てきてしまったのだ。

 

 

 

「きっと、うまくいく」

 

 

この映画のキーワードでもある、「All is well」。

 

 

  

きっと、うまくいく。

 

ピンチになったときや、緊張する場面で主人公たちは「All is well」とつぶやくのだった。

 

この呪文を心の支えにして、常識を破ったり、逆境を切りぬけていく。

 

 

日本でも、常識にとらわれてしまうことがあるんじゃないだろうか?

 

 

世間の目を気にして、自分の気持ちに嘘をつくこと。

 

良い会社に入らなきゃ、結婚しなきゃとか。

 

でも自分のほんとうに、やりたいことってなんだろうか?

 

 

ひとと違うことをするには勇気が必要。

 

そんなときは、「きっと、うまくいく」と唱えると最初の一歩を踏み出せるような気がした。

 

 

この映画は「今を生きる」ことを見つめ直す、キッカケを与えてくれるはず。

 

 

 

『茶色のシマウマ、世界を変える』

 本と出会った経緯

 

 

この本は、まどかさんから紹介してもらった。

 

まどかさんは現在、カナダでスタジオをつくって、ダンスの先生をしている。

 

知り合ったのは、学生のころ。ツイッターのつぶやきに魅かれて直接、連絡を送ったのだ。

 

返事がきて、ストレートな感情表現。そして、心に響く言葉がほんとうに印象的だった。

 

そして、まどかさんは何のためにダンスをするのか探すために、世界一周をしている。

 

そこでぼくは、世界の教育に興味があると相談してみた。

 

そしたら、『茶色のシマウマ、世界を変える』という本を紹介してくれたのだった。

 

 

 

 教育や国際について、興味がある人にぜひ、読んでほしいおススメの本。

 

 

 

 

ISAKをつくった女性

 

 

 

 

この本は、日本初の全寮制インターナショナル高校である、ISAKをつくった小林りんさんの物語だ。

 

 

ISAKとは、インターナショナル・オブ・スクール・アジア・軽井沢の略称。

 

2014年8月、長野県軽井沢町につくられた。

 

 

この高校が重視するのは、生徒の多様性。

 

 

生徒はアジア諸国を中心とした世界各国から、集まる。

 

 

しかも、できる限り多様な地域の多様な階層の子どもたちに門戸をひらくために、奨学金制度を充実させている。

 

つまり、この高校では日本人と外国人が一緒に学ぶ高校なのだ。

 

 

この本には、「教育を通じて世界を変えたい」という、りんさんの想いや原動力に

ついて書かれている。

 

uwcisak.jp

 

茶色のシマウマ

 

本のタイトルにもある、「茶色のシマウマ」という言葉。

 

いったい、どういう意味だろう?

 

 

 

 

縦模様が茶色のシマウマがいたとして、その子は生まれ育ったシマウマの群れのなかでは自分が周りと違うことばかり意識する。

 

でも、居場所を探してキリン像の群れの中を転々とした結果、自分が「シマウマ」だったことを思い出す。

 

これは学校を設立するという、大きな目標に向かって、果敢にチャレンジする小林りんさんの生き方をたとえているのだ。

 

 

小林りんさんとは?

 

 

まるで、ジブリの映画に登場するナウシカの主人公のようなひと。

 

そう、書かれていた。

 

灰色に塗りつぶされた社会に押しつぶされることなく、みんなのためにやらなければいけないことに真っすぐ立ち向かっていく、正義感と生命観にあふれた女性。

 

 

 

りんさんは、中学校を受験して東京学芸大学付属高校学校に入学。

 

しかし、日本の学校では自分が異質であると感じて高校を中退。

 

海外に飛び出したけれど、留学先のカナダで多様なバックグラウンドの学生たちに揉まれながら、気づいたのは自分の「日本人としてのアイデンティティ」だった。

 

カナダのピアソン・カレッジ

 

 

カナダの自然に囲まれた場所に位置する国際学校。

 

各国から集まってくる生徒はここで、寮生活をおくる。

 

 

madokasuzuki.com

 ピアソン・カレッジのことは、まどかさんのブログに詳しく紹介されている。まどかさんは、ダンスだけでなくて、寮生のお世話をするハウスペアレンツもしているのだ。

 

 

 

そこで、りんさんが感じたのは、外国などというものは、明日という日は本当に存在しないのと同じように、本当は存在しないということ。

 

世界にあこがれたり、留学すれば自分は変わることが出来ると思ってしまう。

 

ひとは「いま」しか生きることができない。

 

 

りんさんも日本にいたときは、自分はほかの日本人とは違うんだと思って、海外に留学した。

 

しかし、カナダにきてしまえば、生きなければならない「ここ」でしかなかったのだ。

 

 

 

国際化とは?

 

 

国際化という言葉をよく聞くことのでないだろうか?

 

りんさんは、英語でコミュニケーションができるようになること、アメリカ人やイギリス人のようになることが、国際人になることではないことに、気付いたという。

 

自分のアイデンティティは、日本人としてほかの国々のひとたちと付き合うことが本当の意味で外国と付き合うということ。

 

日本は陸続きではないので、多人種や多民族の存在を意識しないで生きていける。

 

りんさんは、カナダのピアソン・カレッジに留学したことで一番わかったのは、自分は日本をよく知らないということだったのだ。

 

 

 

教科書にない学び

 

りんさんはつくったISAKでの教え方は、日本にはあまりないスタイル。カナダのピアソン・カレッジのような多様性がある学校。

 

パレスチナチベット、中国、フランスなど多国籍の生徒が集まる。そして、教師が教えるのではなくて、生徒に考えさせる授業。

 

教師は生徒が話し合いを円滑に進められるように、ファシリテーターの役目をはたす。

 

また学校では、知識として既に知っているはずの真実に、本当の意味で触れることができる。

 

世界には、様々な人種や民族がいることは誰でも知っている。

 

日本の文化がそのひとつに過ぎないってことも。

 

けれど、それを知っていることと身をもって経験するのは、やはりまったく別のこと。

 

知識は暗記するものじゃなくて、考えたり、自分の意見を述べるための道具なんだ。

 

 

 

世界を変える

 

 

 

りんさんのように、教育で世界を変えるなんて無理だと思うかもしれない。

 

けれど、地図にある世界ではなくて、日本社会、学校社会、地域、会社のような身近な自分の世界を変えることはできると思う。

 

大人になってからも読書をしたり、海外にいったり、仕事に打ち込んだり。

 

 

ぼくもりんさんのように、社会の問題を他人事のように思わず、じぶんたちの問題だと

考える人間で在りたい。

 

 

 

 

 

『GRIT やり抜く力』

 

 

 

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

 

 

 この本と出会ったのは、去年の3月のこと。

 

卒業後のやりたいことが明確でなくて、迷っていた時期。

 

 

お世話になっている経営者の方に、ほんとうに夢中になれるものがないと相談したときに、この本を紹介されたのだ。

 

 

 

やりたいことはあるけれど、成果がでないと悩んでいるひとにおススメの本。

 

  

 

才能への先入観

 

 

「才能」という言葉を聞いて、なにを思い浮かぶだろうか?

 

誰かが、新聞紙にのったり、テレビで取材されるのを見ると、世間ではそのひとを「並はずれた才能の持ち主だ!」として、あがめたりする。

 

 

 

しかし、才能を過大評価し続けてしまうと、自分自身を過小評価することにつながるという。

 

 

たまに、「あいつは、天才だ!」っていうことはあるのでは?

 

最近でも、テレビで放送されている大谷選手の二刀流を見て、「あいつは100年に一人の逸材だ。。。」とため息をついて、ニュースをみるひとも多いんじゃないかな。

 

だれもが「才能」に対して無意識に、先入観を持ってしまうという。

 

 

 

「楽をするために神格化する」

 

かの有名な哲学者のニーチェはこういった。

 

 

「あまりに完璧なものをみたとき、我々は『どうしたらあんなふうになれるのか』とは

考えない」。その代わりに「魔法によって目の前で奇跡が起こったかのごとく熱狂してしまう」。

 

 

これを聞いて、頭に浮かぶのはやはり、大谷選手。

 

 

生まれつき身長が高くて、身体も柔らかくて、運動神経もよくて。

 

 

ようするに、「大谷選手は生まれながらの野球の天才なんだ。あんな才能は誰にもないし、技術も真似できない」と思ってしまう。

 

『あの人は超人的だ』。

 

 

神格化してしまえば、自分は凡人。努力しても意味がないと、楽をすることが出来る。

 

そこで、ニーチェは偉業を成し遂げたひとを「職人」と考えるべきだという。

 

 

職人は、輝かしい完成の瞬間よりも、むしろ細部をおろそかにせず丁寧な仕事をすることに喜ぶ。

 

 

野球選手の大谷選手も、見えないところで毎日身体のケアをしたり、厳しい練習を積みかさねているのだ。

 

 

 

 

 

 天職

 

 

 本当に好きな仕事に打ち込んでいるひとを見ると、うらやましくなってしまうことはないだろうか?

 

 

しかし、そのひとも、一生かけてやりたいことが見つかるまでには、かなりの時間がかかった場合が多い。

 

ぼくの知り合いのおばあちゃんも、60歳で福祉の仕事から、いろんなひとが集まれるような、絵を飾るギャラリーを開くという夢を叶えた。

 

いつ、やりたいことが見つかるかなんて、わからない。

 

 

 

このブログを読んでいるひとでも、自分に合う、新しい仕事を探しているひとがいるかもしれない。

 

 

この本では、いまやっている仕事も考え方を変えれば、やりがいのある仕事になりうると書いてあるのだ。

 

 

 あるレンガ職人の寓話がある。

 

あるひとがレンガ職人に「なにをしているんですか?」と尋ねた。

 

すると、3人とも違う答えが返ってくる。

 

 

1番目の職人は「レンガを積んでるんだよ」

 

2番目の職人は「教会を作ってるんだよ」

 

3番目の職人は「歴史に残る大聖堂を作ってるんだよ」

 

 

1番目のレンガ職人とってレンガ積みは、生活するお金をもらうための「仕事」

 

2番目のレンガ職人にとっては、もっといい仕事へ移るための「キャリア」

 

3番目の職人は、人生で一番大切だという「天職」を意味する。

 

 

どの職業も、この3種類に分けられるという。

 

 

3番目の天職はどうやったら、見つかるのだろうか。


ほとんどのひとが「いつか、自分に合った仕事が見つかるはずだ!」と完成形を求めてしまう傾向にあるという。

 

しかし、天職との出会いはいまやっている、仕事にもあるのだ。

 

 

清掃員でも、事務員でも、教師でも受け身の姿勢ではなくて、どんな仕事でも考え方を変えるだけで「天職」になる。

 

 

 

 

「歴史ある大聖堂を作っているんだ」といった、レンガ職人のように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『真実の瞬間 SASのサービス戦略はなぜ成功したか』

 

 

  

人間的成長が仕事にも、影響する

  

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ぼくは、今日仕事をしていて、「だれのために働いているんだろう?」

とふいに疑問に感じた。

 

毎日を繰り返していると、たまに仕事をする目的を見失うこともある。

 

そんなときに、ふと去年の11月。大学4年生の秋を思い出したのだ。

 

ぼくは、神田のカフェでインターンをしていた。

 

このお店は特殊で、店長と僕だけで運営。

 

店長と僕の一対一の指導。3か月の間、週に3回のシフトで入った。

 

指導してくれた店長は、星野リゾートで働いていた経験がある。

 

接客の仕方やお客さんへの心遣いに対して、本当に指導が厳しかった。

 

一対一だと、どこにも逃げることはできない。

 

スポットライトが嫌でも、自分にあたるのだ。

集団にまぎれて、失敗をごまかすことなんて、できない。

 

大人数で働いていると、責任感が薄くなる。

 

たとえば、目の前で人が血を流して、倒れていたとする。

 

その場にいるのが、3人だけだったら自分が動かないと!ってなる。

 

だが、50人いるような場所に人が倒れていたら。

 

さらに多い、100人くらいになると「あのひと、死んだのかな?」って遠くから、眺めるだけになってしまう。

 

仕事も一緒で、だれかやってくれるって思ってしまうのだ。

 

 

 

また、接客中のミスはを探っていくと、自分の悪いクセや習慣が原因であることが多かった。

 

直前まで、やらなきゃいけないことを貯める、自分を過信して、同じミスを繰り返すなど。

 

 

このインターンを通して結局は、人間的成長が仕事にも、影響することを知った。

 

 

課題図書

 

 

 

カフェのインターンでの、テーマは「サービスの本質とは?」

 

簡単にいえば、そもそもサービスってなんだっけ?ということ。

 

 

「なかじまくん。サービスって何だと思う?」

 

店長にふいに、聞いてきた。

 

ふだん、よく使うサービスってさあ、なんでしょう。

 

 

........ぼくは、わからなかった。

 

そこで、サービスの本質を知るヒントになると、紹介してくれたのが、

 

『真実の瞬間 SASのサービス戦略はなぜ成功したか』という本。

 

 

 

『真実の瞬間 SASのサービス戦略はなぜ成功したか』

 

 

 

真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

 

 

 

 

SASとは、スカンジナビア航空のことだ。

 

スカンジナビア航空はスウェ―デンにある、有名な航空会社。

 

この本では、スカンジナビア航空の社長を務めていた、ヤン・カールソンの実体験が書かれている。

 

当時、無名だったスカンジナビア航空をヨーロッパで欠かせない航空会社にまで、成長させた企業戦略。

 

この本は、サービス業界のひと必読のバイブルにもなっている。

 

「真実の瞬間」

 

ヤン・カールソンは航空券販売係や、客室乗務員といった最前線の従業員の最初の15秒間の接客態度が、その航空会社全体の印象を決めてしまうという。

 

 

カールソンはその15秒間を、「真実の瞬間」と呼ぶ。

 

スカンジナビア航空では、一回の応接時間が平均15秒だった。

 

1年間にすると、何万回と、お客さんに印象を与えることになる。

 

カールソンはこの、「真実の瞬間」の積み重ねが重要だという。

 

歴史的岐路

  

新しい企業、賢い消費者が増えたいま、「歴史的岐路」に立っている。

 

 

 

たとえば、ワタミや魚民などのチェーン店を駅前でみるはずだ。

 

 安い価格で飲み放題が付いているのは、当たり前のようになっている。

 

そして、いろんな名前のチェーン店の居酒屋が、ごった返しているのだ。

 

そうなると、競争は激しくなっていく。

 

お店を残すには、いままでとは違う価値を提供しなくてはならない。

 

 

また、お客さんはそれぞれ、ひとりの人間として扱われることを期待している。

 

 

 

じゃあ、お客さんの期待にこたえるには、企業はどうしたらいいのか?

 

 

それは、「顧客本位の企業に作り替える」ことだと、ヤン・カールソンはいう。

 

 

 

 裁量権を与える

 

いちばんお客さんと接しているのは、最前線で働く、従業員だ。

 

お客さんの声をダイレクトに聞くことができる。

 

なにより、接客する15秒で会社全体の印象が決まってしまうというのだから、最前線で働く従業員は、とっても重要な立場にいる。

 

 

航空会社ではまず頭に浮かぶのは航空券係や、スチュワーデス。

 

もし、自分が航空券係だったとしよう。

 

受付に、「家に航空券を忘れてしまった!会社の打ち合わせでどうしても、間に合わせなくてはいけないんだ....!」と対応を求めるお客さんが訪ねてきたら、どうするか?

 

 

だいたいのひとは、「上のものに聞いてみます。」と答えるはずだ。

 

上司の許可を得られないと、その場でお客さんの要求に、応えることができない。

 

 

勝手に判断は下せないのは、当たり前のこと。

 

 

しかし、個々の従業員に裁量権が与えられていたら、問題を処理できたかもしれないのだ。

 

 

カールソンはようするに、業務を効率化するために上からの意思伝達の組織だと、

 

「真実の瞬間」で、お客さんを満足させることができないといっている。

 

 

結局サービスってなんだ?

 

後日、カフェで店長に本の感想を聞かれた。

 

「本、読んでみてどう思ったー?」と。

 

 

ぼくは、「いいサービスをするためには、従業員に裁量権を与えて.......~☆◆▲」

 

 

 

と頼りない声で答えた。

 

 

 

すると、店長は「わたしが伝えたかったこと、伝わってへんなぁ。この本で伝えたかったのは、シンプルに目の前のお客さんを満足させることだよ。」

 

お前、なに寝ぼけてんだ。経営者の視点で物申すのはまだ、早いよと。

 

 

なるほど。

 

 

店長がこの本で伝えたかったのは、ほんとうは単純なことだった。

 

 

 

どんな仕事でも、おなじ。

サービスでは、「真実の瞬間」を積み重ねていくことが大切なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『働き方』

 

働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」

働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」

 

 

 

『働き方』とは

 

この本の著者は、稲盛和夫さん。京セラを設立したひとだ。

 

働くことによって、人生において「価値のあるもの」が手に入るという。

 

大学4年生のときに一度、読んだことがある。

 

そのときには共感できることは少なかった。

 

むしろ、「根性論じゃないか」と反発しながら、読んでいた記憶がある。

 

しかし、学校を卒業して働き始めてから、読み直すと共感することが沢山あった。

 

 なんのために働くのか?

 

そう感じている人に、ぜひ読んでほしい。

 

 

 仕事は嫌なこと?

 

 

 

働くことが嫌い。

 

とくにいまの若者は、働くことを怖がる傾向にある。

 

なるべく、楽をして給料が高いところで働きたい。

 

そして、できるだけ仕事を早く切り上げて、自分のプライベートを確保したいと考える。

 

 

人間なのだから、楽をもとめるのは当たり前。

 

 

西洋の労働観が、日本にも浸透しているのだ。

 

 

しかし、この本にはそんな時代だからこそ、忘れてはいけないことが書いてある。

 

 

働くことが人をつくる

 

ほとんどの人が、1日の大半は仕事に時間を費やす。

 

そのなかで、仕事がうまくいかなかったこと。

 

上司に叱られて落ち込むことも、沢山あるかもしれない。

 

しかし、仕事は心を鍛える「修行の場」でもあるのだ。

 

壁にぶちあたったら、チャンスだと思うこと。

 

逆境であっても、働き続けることで、心を高めることができる。

 

 

 

 

 

自燃性のあるひとになる

 

仕事をしていると、タイプが3つに分かれるという。

 

①可燃性タイプ

 

周りのひとに、仕事のやる気スイッチを押されてがんばるひと。

 

②不燃性タイプ

 

周りがやるきを出させようとしても、がんばらないひと。

 

③自燃性タイプ

 

周りに言われる前に、がんばるひと。

 

 

 

 

この本では、③の自燃性のひとになることで仕事で成功をおさめ、人生豊かにするという。

 

 

たとえば、「今月の売り上げを伸ばす」というテーマがあったとする。

 

そのとき、まだ入社したばかりの若い社員であっても、

 

「先輩。社長が売り上げを上げることをテーマに掲げていますが、どうすれば売り上げが上がるか、みんなで話し合いましょう」

 

このように、いいだしっぺが「渦の中心のひと」なのだ。

 

 

だれかの発言に影響されて、渦の周囲をぐるぐる回っている可燃性のひとよりも、渦の中心となる、自燃性のひとのほうが仕事に対して、喜びを感じるという。

 

 

 

100メートル競走のように走れ

 

 

ずっと働いていると、「自分の人生はどうなるのだろう?」と迷うことがある。

 

 

通常なら、先を見据えて考えるのが一般的だ。

 

しかし、この本では反対に、目の前のことを取り組むことが重要だとしている。

 

人生はつまるところ、「一瞬いっしゅんの積み重ね」

 

 

いま、この1秒の集積が1日となり、その1日の積み重ねが1週間、1か月、1年、そして一生になる。

 

たとえば、マラソンのレースに出たとする。

 

遅れて参加したので、先頭集団ははるか彼方を走っている。

 

もう、この時点で追いつかないと分かってしまうと、やるきを無くしてしまう。

 

そういうときは、100メートルの競争だと思って走ってみる。

 

全力疾走に慣れて、継続していけばいつの間にか、先頭に追い付いたり、頑張れたりするものだ。

 

 

目標を先に見据えすぎないで、目の前のことを120パーセントでこなすこと。

 

 

また日々に必ずある、どんな小さなことでも、積極的に取り組み、問題意識を持って現状に改良と工夫をすることが大切だ。

 

 

今日は昨日より1センチだけでも、前に進んでいるだろうか?

 

 

 

 

 

オープンスペース「寓」

f:id:tommy-manabi:20180917023137j:plain青梅駅の近くで流れる多摩川と泳ぐ鳥のカワウ。

 

 

 

ゼロ円経済

 

 

今日は神保町...ではなくて、東京の西に位置する、青梅に訪れた。

 

前回の記事でも書いたが、利益を求めるカチッとした、企業の仕組みや地域のつながりが希薄になってきたいま、見直されていることがある。

 

それは、リアルなつながり。

 

物があふれているいま、「温かみ」が求められていると思う。

 

 

tommy-manabi.hatenablog.com

 

最近では物々交換や、シェアリングエコノミーという言葉をよく、耳にする。

 

メルカリやココナラ、ジモティーなどのアプリも、当たり前に使われるようになった。

 

しかし、ネット上でのつながりでなくて、リアルでひとと会って話す場所は、あまり聞くことはない。

 

 

 僕が訪れたのは、東京都青梅市にあるシェアスペース「寓」。

 

 

ここでは、毎日いろんなひとが集う場所になっている。

 

 

 オープンスペース「寓」とは?

 

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オープンスペース寓は2017年12月に、「障害」のあるひとも、ないひとも、高齢者、若者、こどもたち、外国人、みんなで街づくりすることを目的として作られた。

そして、この場所は地域の方たちからの、寄付によって成り立っている。

 

寓では毎日、昼間と夜の2回食事会を開いていて、日曜にはチョコレートのワークショップもおこなっているという。

 

ぼくは今回、夜からの食事会に参加してみた。

 

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左下に写っている、ジントニックだけで500円する居酒屋もあるはず。なのに、この量の料理が運び出されて。圧倒されてしまう。

 

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ちびっこに人気だという、ジャングルハンバーグ。こどもでなくても、テンションが上がることはまちがいなし。

 

 

 

なんと、この食事会に参加するのに必要なお金は500円。

 

なぜ、こんなに安く提供できるのか?

 

料理を作っているのは、はねやんさん。

 

食事会の料理は、はねやんさんが毎朝、チャリンコで近くのスーパーで、汗を流して材料を調達している。

 

しかも、安い素材を狙い撃ちするという。事前に買う食材をリスト化して、すこしの無駄なくカゴにいれるらしい。

 

 

ほかにも、地域の方からいただいた野菜や果物などのおすそ分けを出しているから、こんなにも安く提供できるらしい。

 

 

とにかく、料理がうまい!!!

 

 

過去の食事会でのエピソード

 

 

この場所には偶然、通りすがりの外国人もよく訪れる。

 

そのなかには、日本で英語教師をしていたイラン人の方もいる。

 

英語教師といっても、授業のサポーター的な役割。

 

日本の英語教育は、教師が教壇に立ち、生徒は横並びの環境でまなぶ。そんな指導方法をみて、異議をかんじても、横から口をはさむことはできなかったという。

なぜ、自由に英語を発言できる環境を作らないんだと。

 

日本では、文部科学省が定めた学習指導要領をもとに指導をおこなう。日本人が英語を話せないのを改善するには、根本的に教育システムを見直すことが必要だ。

 

結局、そのイラン人の英語教師は、任期を終えてから、転職してしまったという。

 

その転職を探す期間に、シェアスペース寓で毎週日曜に行われている、チョコレートのワークショップに数ヶ月の間、運営に携わっていたとのことだ。

 

このように、寓では日本と海外の教育の違いを議論したり、社会問題のはなしなど、普段はなさないことも、真剣に話す場である。

 

 

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左から、はねやんさん、寓の大家さん、自分、りっさん。
はねやんさんとりっさんは、この寓で食事会を主催している。大家さんも毎日、はねやんさんの美味しい料理を食べにくるそうだ。

 

食事会の目的は?

 

 「幸せになりたいだけ。」

 

はねやんさんがつぶやいた。

 

りっさんも、「美味しいご飯をみんなで食べて、毎日楽しく話せれば、これほど幸せなことはない」という。

 

ひととのつながりが、自分の人生を豊かにしてくれる。

 

お金じゃない、ひととのつながりが寓を運営する、原動力となっているらしい。

 

 

とくに、主婦だから、サラリーマンだからと環境にがんじがらめになって、自分の好きなことが出来ないひとを支えたいという。

 

はねやんさんは、主婦としての仕事が多忙で、自分の時間を持てない知り合いに、「食事は任せろ。代わりに俺が毎日、料理を作ってやる。だからお前は好きなことをやれ!」といってしまうほど。

 

 そう、寓では社会のしがらみから「解放」することも、もう一つの目的なのだ。

 

本当はみんなもっと、やりたいことやっていいんだよと。

 

世の中には、自分の立場や環境のせいにして、出来ることを制限するひとが多い。

 

信念を持って、やれば何でもできるはず。

 

自分を奮い立たせることが大切だ。

 

 

自分を奮い立たせる、言葉があるという。

 

 「I’m great」

 

自分を信じられるのは、自分しかいないということ。

 

出来ないのは、きっと諦めてしまうから。

 

料理や車の運転だって、慣れれば出来るようになる。

 

どうやったら、出来るか考えたり工夫したり。努力があれば、何でも出来ると寓で教えてくれた。

 

 

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世界を旅できる場所

 

 

僕は、「世界を旅してみたい」と言った。

 

地域を散歩するのと、同じ感覚で。

 

世界一周するんだと肩をあげて、行くのではなく、神保町や青梅で散歩するような、心持ちで旅をしてみたいと。

 

すると、2人から「そんなのは自分から行かなくても、できるよ!」と 返事がきて、意表を突かれた気がした。

 

 

寓では、色んな国籍の外国人が訪れる。

 

寓を運営している、2人にお話を伺うと、毎日がまるで、世界旅行をしているかのようだと話す。

 

それは、色んな国籍の外国人が訪れるから。

 

そのときに、自国のエピソードを聞くと、海外の溢れんばかりの情報が入ってくるという。

 

だから、自分で場所を作って色んなひとと交流するのも、楽しいんだぞと。

 

例えば、地元の柏なんて、栄えていて色んなひとが来るのだからゴザを引いて、何かやってみればいい。

 

やりたいことは、工夫すればできるんだ。

 

継続は信用

 

寓では、毎日食事会を継続している。

  

 

そして、寓では地に足をつけて、地域のひととかかわることで、「信頼」を築いているのだという。

 

信用は継続でもある。ささいな、ことでも続けてみることが大事なんだ。

 

 

おすそ分けの気持ち

  

「おすそ分け」の感覚が自然豊かな地域だけでなく、東京など、経済の中心地でも浸透してほしい。

 

じつは今回の食事会のあと、日曜だったので丁度開かれていた、

ビアガーデンにも連れていってくれた

 

りっさんは、「さあ、いっしょに車でいくよ!」と。

 

 

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 はねやんさんと、りっさんの友人との写真。地元のひとたちに、青梅の魅力をたくさん教えてもらった。 

 

 バームクーヘンとビールも本当にごちそうになりました。

 

 

ぜひ、いちど「寓」に足を運んでみてほしい。

 

僕は、直接FBのメッセンジャーで連絡を取ってみた。

 

毎日の食事会の様子は、フェイスブックで更新されている。

 

 

 

●住所

 

 東京都 青梅市柳町1501

 

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