オープンスペース「寓」
青梅駅の近くで流れる多摩川と泳ぐ鳥のカワウ。
ゼロ円経済
今日は神保町...ではなくて、東京の西に位置する、青梅に訪れた。
前回の記事でも書いたが、利益を求めるカチッとした、企業の仕組みや地域のつながりが希薄になってきたいま、見直されていることがある。
それは、リアルなつながり。
物があふれているいま、「温かみ」が求められていると思う。
最近では物々交換や、シェアリングエコノミーという言葉をよく、耳にする。
メルカリやココナラ、ジモティーなどのアプリも、当たり前に使われるようになった。
しかし、ネット上でのつながりでなくて、リアルでひとと会って話す場所は、あまり聞くことはない。
僕が訪れたのは、東京都青梅市にあるシェアスペース「寓」。
ここでは、毎日いろんなひとが集う場所になっている。
オープンスペース「寓」とは?
オープンスペース寓は2017年12月に、「障害」のあるひとも、ないひとも、高齢者、若者、こどもたち、外国人、みんなで街づくりすることを目的として作られた。
そして、この場所は地域の方たちからの、寄付によって成り立っている。
寓では毎日、昼間と夜の2回食事会を開いていて、日曜にはチョコレートのワークショップもおこなっているという。
ぼくは今回、夜からの食事会に参加してみた。
左下に写っている、ジントニックだけで500円する居酒屋もあるはず。なのに、この量の料理が運び出されて。圧倒されてしまう。
ちびっこに人気だという、ジャングルハンバーグ。こどもでなくても、テンションが上がることはまちがいなし。
なんと、この食事会に参加するのに必要なお金は500円。
なぜ、こんなに安く提供できるのか?
料理を作っているのは、はねやんさん。
食事会の料理は、はねやんさんが毎朝、チャリンコで近くのスーパーで、汗を流して材料を調達している。
しかも、安い素材を狙い撃ちするという。事前に買う食材をリスト化して、すこしの無駄なくカゴにいれるらしい。
ほかにも、地域の方からいただいた野菜や果物などのおすそ分けを出しているから、こんなにも安く提供できるらしい。
とにかく、料理がうまい!!!
過去の食事会でのエピソード
この場所には偶然、通りすがりの外国人もよく訪れる。
そのなかには、日本で英語教師をしていたイラン人の方もいる。
英語教師といっても、授業のサポーター的な役割。
日本の英語教育は、教師が教壇に立ち、生徒は横並びの環境でまなぶ。そんな指導方法をみて、異議をかんじても、横から口をはさむことはできなかったという。
なぜ、自由に英語を発言できる環境を作らないんだと。
日本では、文部科学省が定めた学習指導要領をもとに指導をおこなう。日本人が英語を話せないのを改善するには、根本的に教育システムを見直すことが必要だ。
結局、そのイラン人の英語教師は、任期を終えてから、転職してしまったという。
その転職を探す期間に、シェアスペース寓で毎週日曜に行われている、チョコレートのワークショップに数ヶ月の間、運営に携わっていたとのことだ。
このように、寓では日本と海外の教育の違いを議論したり、社会問題のはなしなど、普段はなさないことも、真剣に話す場である。
左から、はねやんさん、寓の大家さん、自分、りっさん。
はねやんさんとりっさんは、この寓で食事会を主催している。大家さんも毎日、はねやんさんの美味しい料理を食べにくるそうだ。
食事会の目的は?
「幸せになりたいだけ。」
はねやんさんがつぶやいた。
りっさんも、「美味しいご飯をみんなで食べて、毎日楽しく話せれば、これほど幸せなことはない」という。
ひととのつながりが、自分の人生を豊かにしてくれる。
お金じゃない、ひととのつながりが寓を運営する、原動力となっているらしい。
とくに、主婦だから、サラリーマンだからと環境にがんじがらめになって、自分の好きなことが出来ないひとを支えたいという。
はねやんさんは、主婦としての仕事が多忙で、自分の時間を持てない知り合いに、「食事は任せろ。代わりに俺が毎日、料理を作ってやる。だからお前は好きなことをやれ!」といってしまうほど。
そう、寓では社会のしがらみから「解放」することも、もう一つの目的なのだ。
本当はみんなもっと、やりたいことやっていいんだよと。
世の中には、自分の立場や環境のせいにして、出来ることを制限するひとが多い。
信念を持って、やれば何でもできるはず。
自分を奮い立たせることが大切だ。
自分を奮い立たせる、言葉があるという。
「I’m great」
自分を信じられるのは、自分しかいないということ。
出来ないのは、きっと諦めてしまうから。
料理や車の運転だって、慣れれば出来るようになる。
どうやったら、出来るか考えたり工夫したり。努力があれば、何でも出来ると寓で教えてくれた。
世界を旅できる場所
僕は、「世界を旅してみたい」と言った。
地域を散歩するのと、同じ感覚で。
世界一周するんだと肩をあげて、行くのではなく、神保町や青梅で散歩するような、心持ちで旅をしてみたいと。
すると、2人から「そんなのは自分から行かなくても、できるよ!」と 返事がきて、意表を突かれた気がした。
寓では、色んな国籍の外国人が訪れる。
寓を運営している、2人にお話を伺うと、毎日がまるで、世界旅行をしているかのようだと話す。
それは、色んな国籍の外国人が訪れるから。
そのときに、自国のエピソードを聞くと、海外の溢れんばかりの情報が入ってくるという。
だから、自分で場所を作って色んなひとと交流するのも、楽しいんだぞと。
例えば、地元の柏なんて、栄えていて色んなひとが来るのだからゴザを引いて、何かやってみればいい。
やりたいことは、工夫すればできるんだ。
継続は信用
寓では、毎日食事会を継続している。
そして、寓では地に足をつけて、地域のひととかかわることで、「信頼」を築いているのだという。
信用は継続でもある。ささいな、ことでも続けてみることが大事なんだ。
おすそ分けの気持ち
「おすそ分け」の感覚が自然豊かな地域だけでなく、東京など、経済の中心地でも浸透してほしい。
じつは今回の食事会のあと、日曜だったので丁度開かれていた、
ビアガーデンにも連れていってくれた。
りっさんは、「さあ、いっしょに車でいくよ!」と。
はねやんさんと、りっさんの友人との写真。地元のひとたちに、青梅の魅力をたくさん教えてもらった。
バームクーヘンとビールも本当にごちそうになりました。
ぜひ、いちど「寓」に足を運んでみてほしい。
僕は、直接FBのメッセンジャーで連絡を取ってみた。
毎日の食事会の様子は、フェイスブックで更新されている。
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