職人、ときどき神保町

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『アルケミスト夢を旅した少年』

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

 

 

アルケミスト夢を旅した少年

 

 

「世界最大のうそってなんですか?」と、すっかり驚いて、少年は聞いた。

「それはこうじゃ、人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ。」

(『アルケミスト夢を旅した少年』ページ24。少年と老人の会話より)

 

 

この本を知ったきっかけ

 

今年の夏に山形へ免許合宿へ行った。

 

そのときに出会った25歳の投資家から、紹介してくれた本。

 

彼は、不思議な人物だった。

 

常に人生を考えている哲学者。と思いきや、平凡すらも、楽しんでしまうようなパリピでもあった。

 

当たり前のような毎日の中で、楽しさを見出していく。

 

 

どうやら、彼はタニタ食堂創始者のひ孫らしい。考えかたが斬新なことばかりだった。

 

 

たとえば日々のなかで、自分が感じたことや成長したことを残す「内省ノート」をつけていた。

 

 

自分のクセ。性格。楽しいと思うことをノートに図や文章で書く。

 

いわゆる、日記みたいなもの。

 

 

じぶんの人生を客観的に見てみる。

 

 

そんな彼の姿をみていて、足をとめて自分と向き合う時間も、あっていいと思った。

 

 

紹介してもらった『アルケミスト夢を旅した少年』も、自分の人生を客観的に見るキッカケを作ってくれる。

 

 

 出会いと別れの中で、人生の知恵を学んでいく

 

この本の主人公は羊飼いの少年サンチャゴ。

 

彼はある日、エジプトのピラミッドに宝物が隠されているという夢を見た。

 

そして、その夢を信じて旅を決意。

 

旅のなかで、出会うひとたちによってサンチャゴは人生の知恵を学んでいくストーリーだ。

 

 

これから本の中でも、とくに印象に残った場面をひとつだけ紹介したい。

 

 

老人との出会い

 

 

 

 「まだ若い頃には、すべてがはっきりしていて、すべてが可能だ。夢をみることも、自分の人生に起こってほしいすべてのことにあこがれることも、恐れない。ところが、時がたつうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思いこませはじめるのだ」

 

 

サンチャゴが出会った老人のことば。

 

 

年を重ねていくと、だんだんと夢を見ることがなくなっていく。

 

なぜか。

 

それは、だんだん自分の心の声が、聞こえなくなってくるからだ。

 

この本にも、恋人を見つけたり、やりがいのある仕事を見つけることでサンチャゴは自分の「夢」を忘れそうになる場面が出てくる。

 

なんか幸せなのかな。だから、このままでいいや。

 

本を読んでいて、そんな声が自分の心のなかで聞こえてきた。

 

仕事の環境は居心地がいいし、家族も健康で、週末には自分の趣味が楽しめるや!

 

そんな自分とサンチャゴの冒険は、重なるところがあった。

 

「本当に今の状況でいいのか?」

 

自分が本当にやりたいことは何なのか。そして、人生ってなんだろう?

 

そんな心の中の声たち。

 

 

アルケミスト夢を旅した少年』はいつも早足で聞くことのできていない、自分の心の声に気付かせてくれる一冊なので、ぜひ一度だけでも読んでみてほしい。