ひとはなぜ家に住むのか?
建築業界で働いていて、ふと疑問に思うことがある。
それは、そもそも人はなぜ家に住むのか?
住む場所には、一戸建て、集合住宅(アパート、マンション、団地)など種類がある。
生まれてから、当たり前のように家に住み、成人したら当然のように新しい住居に住む。
僕はひとが家に住む理由を「本能」だと、考えてみた。
よく衣・食・住と言われる。
寒いから、服を着る。エネルギーを得るために食べる。寒さや危険から身を守るために、家に住む。
どれもが、「生きる上で欠かせない」ことだ。
歴史を旧石器時代にさかのぼってみる。
これは竪穴式住居の写真。
ここに、四人家族で住んでいることをイメージすると、現代を生きるじぶんたちにとっては、とても窮屈に感じる事だろう。
しかし、この時代を生きてきた家族は、竪穴式住居に住んでいたのだ。
今度は、現代の戸建ての住宅の写真。
竪穴式住居と比べて、大きくなっただけでなく、門扉や駐車場、外壁、植栽も付け加わっている。
この写真を比べて分かるのは、どうやら人が家を建てる理由は「生きるための本能」だけではないということだ。
人間は車や庭、1人ひとりの部屋など快適な空間を求めてきた。
だから、ひとが家を建てることは危険から身を守るためだけではなく、
快適な空間を得るという物欲を満たし、社会的地位を象徴することでもある。