有給のおはなし
有給のおはなし
今日、仕事の休憩中に、社長とこんな話をした。
有給ってなんだろうね?
ぼくが「知り合いの業者さんが社員全員で、慰安旅行に行くらしい」という、会話をしたのがキッカケだった。
就活や転職のときに、「有給が取りやすい」ことは気になるポイントのひとつである。
でも、当たり前のように僕たちは「有給」って呼ぶ。
そもそも、有給ってなんだろう?
有給とは?
辞書には、「休んでも出勤と同様に賃金の支払われる休暇」と書いてある。
働かなくても、お金がもらえる制度。
それを聞いたら、誰もが有給をもらいたい。
しかし、有給を利用するには条件がある。
有給は採用日から数えて6か月間労働契約が継続し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10日間を与えなくてはならないのだ。
ようするに、長く企業に勤めていれば、その従業員には有給を取得する権利が得られる。
◆週所定労働日数が5日以上または週所定労働時間が30時間以上の労働者
(※画像出典:厚生労働省神奈川労働局 )
上の図をみると、最高で20日間の有給を取れることがわかる。
泥水を飲んでいるひとが必ずいる
有給って、いいじゃん。
ぼくはそう思った。
でも、忙しい企業や少人数の会社では誰かひとりでも有給を取得すれば、その日の仕事が成り立たなくなってしまう。
ぼくが働いているモノづくりの従業員は2人だ。小学校からの友人と、そして社長。
1人が休みを取れば、その日の仕事がストップしてしまう。
そもそも、有給は大手の企業や中小企業でしか使えないのではないだろうか。
そのため、社員が有給を取得するには、企業自体に余裕がないといけないのだ。
資産、人材、運営の仕組み。
それが整って、やっと従業員が有給を使うことができる。
ぼくの勤め先の社長の意見はこうだ。
「従業員が有給を取れるようになるまでの過程に、企業の創業者や役員は必死こいて、泥水を飲むように働いていたんだよ」
ぼくは有給って、長く働けば企業に信頼されて、自動的にもらえる権利だと思っていた。
しかし、有給は企業からもらえるのが、当たり前じゃなかった。
じつは過去に死ぬほど頑張ってきたひと達がいたから、有給っていう制度があるんだ。
じゃあ、有給が取れる会社になるには?
社長がよく言う、この言葉が印象に残っている。
それは、「従業員が楽できるような働きかたをすること」
たとえば、サラリーマンで営業職をやっていたとしよう。
係長に昇進すれば、やっと営業から少し解放されると思うかもしれない。
でも、そうじゃなくて、新しく入ってきた従業員がストレスなく営業が出来る環境づくりのために、さらに努力をすること。
だんだん、従業員が増えて、自分の立場が昇進していったら、創業者やスタートのメンバーたちは、踏ん反り返ってあぐらをかいていただろうか。
きっと、従業員よりも必死になって、汗水たらして働いていたんじゃないかな。
僕たちは当たり前に「有給を使おう!」って言うけれど。
有給が取れるような環境に企業を育てた、先人たちに思いを馳せることって、じつはとても大切なことなんだと思う。
『ストレングス・ファインダー』
この本と出会ったきっかけ
この本は、大学4年生のころに友人から紹介してもらった。
就職先が決まっていなくて、先がどうなるか不安で仕方なかった時期。
自分は結局なにができるんだろうって、悩んでいた時期でもあった。
本を紹介してくれた友人は大学を中退して、すでに企業で働いていた。
自分が進むべき方向がわかっている友人の話は、当時のぼくにとっては重みがあったのだ。
西日暮里の民泊のアパートで缶ビールを片手に、将来のことを寝ずに話し合った。
そこで、友人が自分の長所を知るのに、良い本があると紹介してくれたのが『ストレングス・ファインダー』
本の最終ページにアクセスコードが付いていて、自分の強みをインターネットで診断することができるというのだ。
ストレングス・ファインダーとは?
ストレングス・ファインダーは才能を診断するツール。
このツールは企業で社員がどういう人物か知るときや、就活生が自己分析のために用いたりすることが多い。
そもそも、「才能」ってよく聞くけれど。
世の中には、才能に対する考えとして2つの考えがあるらしい。
自分の欠点を直すことが大事という考えと、長所に焦点を当てて伸ばしていこうとする
考え。
このストレングス・ファインダーでは、後者の考えをよしとしている。
短所ではなくて、長所を伸ばすことにエネルギーを使う方が、人は何倍もの成長を得られるのだ。
そのためには、まずはその自分の長所に気付かないといけない。
5つの強み
この才能診断をインターネットでやると、じぶんの5つの強みがわかる。
実際に診断してみると、下の写真のようなレポートを見ることができるのだ。
ぼくの5つあるうちの1つが、「包容」らしい。
たしかに。。。。
だれかに無視されることが自分自身ほんとうに嫌だし、ほかのひとが無視されるのも見たくない。
ほかの4つのレポートを見ていても「うんうん、そうなんだよね」と首を縦に振っていることが多かった。
これは、ただの自己分析ツールではないみたいだ。
友人の診断結果は「分析」
論理的に選択をして、最善の手段を選ぶと書いてあったが、まさにその通りだった。
この診断ツールは客観的に自分のことを知りたいときや、友達同士で診断してみると、新しい一面を発見できるかもしれない。
『成功ではなく、幸福について語ろう』
この本を読もうと思ったきっかけ
この本は、ユタカさんの紹介で知った。
ユタカさんと初めて出会ったのは、大学3年生の冬。新宿駅西口の路上でのことだった。
その日は、写真家が寒いなか、自分で撮った写真を路上にゴザを引いて、展示していたのだ。
確か、海外の写真を展示していたような記憶がある。
新宿の人があふれている雑踏の中、ぼくが偶然話しかけた相手がユタカさんだった。
その後、飲みに行ったり、自分が企画した読書会にも忙しいなか、30分だけ顔を出しに来てくれたりした。
そんなユタカさんは、地域包括支援センターで働いている。
地域支援包括支援センターは、各区市町村に設置されている。地域住民からの介護、虐待防止、福祉などの相談に対応する場所だ。
介護施設と地域のひとの大切なパイプ役でもあるのだ。
本を紹介してくれたユタカさんは地域包括支援センターで働くまえは、看護師として働いていた。
生と死、老いをまじかで見てきたユタカさんが紹介してくれた本。
それが、『成功ではなくて、幸福について語ろう』だ。
『成功ではなくて、幸福について語ろう』
この本の著者は岸見一郎さん。
以前、大ヒットした『嫌われる勇気』を書いたひとでもある。
オーストラリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーが作った、「アドラー心理学」をもとにカウンセラーとして、いろんな人の悩みの相談に答えているひと。
今回の本では、タイトルどおり「幸福」がテーマ。
現在の世の中では、「成功」=「幸福」として考えるひとが多い。
いや、そうじゃなくて「成功」は「幸福」になるための手段。
成功と幸福は別物。
成功と幸福を同一視しているひとは、自分の価値を何ができるかという生産性の観点からしか見ないことが多いという。
そもそも、成功って?幸福って?価値って?
ぼくたちにとっての、幸福ってなんだろう。
そんなことを考えさせられる本。
読んでみて、印象に残ったことをこれから、3つだけ書いていく。
one of themとして生きる
他者のつながりのなかで、人は生きている。
なのに、自分がほかに人に愛されることばかり考えてしまう。
友達や恋人がいたら、「あのひとは自分のために何をしてくれるんだろう?」って。
そういう人は、自分に価値があると思えるひとは少ないという。
なぜなら、自分が誰かのために役に立っているという貢献感を持てないからだ。
自分に価値を感じるためには、どうしたらいいか。
それは、ひとから与えられるだけでなくて、ひとに自分から与えていける人になること。
だれかのために、役に立っていると思えるときに人は自分に価値を感じる。
人生は設計できない?
人は「今ここ」で幸福を感じる。
なにか過去を悔やんでも、そのときにタイムスリップできるわけではない。
かといって、未来を考えれば不安になる。
じゃあ、その両方を手放しちゃえ!というのが、大事らしい。
しかし、これを本当に実践すると「人生設計」ができなくなってしまうのだ。
たとえば、自分に強烈なスポットライトが当たっているとイメージする。
すると、過去も未来も見えない。足元はとりあえず見える。
でも、明日はどうなるか分からない。
今日できることだけをやって生きていけば、気が付けばいつの間にか長生きしていたというのが人生だという。
毎日がリハーサルではなくて、本番。
今日という日を他者にいかに貢献できているかということを絶えず、振り返って今日できることをしっかりやっていくことが大切だ。
生きているだけで価値があると思えるか?
「なんか世の中って、生産性でひとの価値をきめてるんじゃないかな?」
そうつぶやいて、ユタカさんはぼくに、この本を紹介してくれた。
仕事ができることが幸福?
なにかスキルを持っていたり、肩書を持っていることが幸福なのか?
それは、本人にしかわからない。
たとえば、自分にとっての幸福が家族の笑顔をみるためだったなら。
まずは、家族と一緒にいる時間を作ってみたり、自分でご飯を手作りで作る。
本当に家族の笑顔を見たかったら、もしかしたら「一緒にいる時間」をつくることが自分にとっての本当の幸福かもしれないからだ。
それで、もっと笑顔にしたかったらお金をもっと稼ぐなり、生産性を
持てばいいし、スキルも磨けばいい。
だから、タイトルのように成功ではなくて幸福を語ること。
これが、大事なことなんだと読んで気付いたことだ。
最後に他のひとのために貢献するってなると、「何ができるのか?」という風にイメージしてしまう。
でも、本当は生きているだけで、それだけで価値があることなんだ。
流れるような日常のなかで。
忘れてしまうけど、わすれてはいけない言葉。
「生きていてくれて、ありがとう」
本とは関係ないけど、大学4年生のときに出会った書道パフォーマーが書いてくれた色紙。右上に「生まれてくれて、出逢ってくれて、今日この時まで生きてくれて、歩んでくれてありがう」と書かれている。これから、 そういう心を持って生きていきたい。
季節の変わりめ②
婆ちゃんのところへ
先日、婆ちゃんが入居しているシルバーケアという介護施設に行ってきた。
社長からの「季節の変わりめに行きなさい。」という一言に背中を押されて。
行くまでは正直いうと、腰がひじょうに重い。
仕事のという名の言い訳があるからだ。
また今度いこうと思って、毎日が過ぎる。
でも、そんな自分を振り切って、ひさしぶりに会いに行くと心から、「会いに来てよかった」と思える。
なぜなら、顔をしわくちゃにしながら、喜んでくれるから。
婆ちゃんの故郷は長野県。
「ひとりで行っても、世代が変わっているからなあ。そんな面白くないよ。」という。
じゃあ、家族と一緒に婆ちゃんが生まれた場所を散策できたら、喜ぶんじゃないか。
こっそり、サプライズで長野旅行を計画してみようかな。
季節の変わりめ。
自分の体調にも、気を付けていこう!
目の前の幸せ
ちいさな幸せ
今日の仕事が終わり、家に帰ってから「ふー」とため息を一息ついてLINEを開いてみた。
すると、一枚の写真が送られてきていた。
ベトナム人の友人からだった。大学3年生の頃、カンボジアに行ったときに出会ったのだ。
現在、その友人は留学で来日していて、大阪の語学学校に通っている。
そんな友人から、たまにほっこりするような連絡がくる。
送られてきた写真は、お爺さん夫婦との出会いが嬉しすぎて、絵に
して描いてみたものらしい。
「おばあちゃんの笑顔が素敵だったよ」と。
この絵を見て、なにを思うだろう?
ぼくは、絵をみて思わず、嬉しくなってしまった。心がほっこりしたのだ。
電車はいつもは他人同士がいる空間。友達や恋人と一緒に乗っていない限りは、会話なんて生まれない。
しかし、いつもとは違うような、電車のなかに流れる、温かい風景がパッと浮かんできた。
こういう経験って、小さいころは良く感じてたっけな。
いまじゃ、あまりそういう心が温まるような機会が減ってきている気がする。
仕事や人生を考えることも大事だけど、目の前の小さな幸せを感じ取って、生きていくことはそれ以上に、大切なことなのかも。
そして、他にも写真を送ってきた友人から、メッセージが送られてきた。
「ねえ、アイスはなんで冷たいの?」
。。。。この言葉を聞いて、なぜかコンビニに売っているビスケットサンドが食べたくなってきた。
季節の変わりめ
大切なことをわすれるな
異常に暑かった夏が終わり、いまでは風が少し肌寒く感じる。
季節は変わり、秋になったのだ。
週6日間、仕事に行くサイクルに慣れてしまうと、どうしても忘れてしまうことが1つある。
それは、シルバーケアに通っている婆ちゃんに会いに行くこと。
婆ちゃんは、80歳を超えて身体もだんだん弱ってきていた。病院に入院していたが、体調が戻ってきて、いまはシルバーケアに通っている。
シルバーケアでは入院する必要はないが、介護が必要なひとがリハビリして、家庭復帰するための施設。
家から近い場所に施設があるから、会いに行こうとすれば、すぐに行ける距離だ。
しかし、ぼくは忙しいからと言い訳をして、行かない。
そんな僕の感情を察したのか最近、社長と車に乗っているときに言われた言葉がある。
「ばあちゃんに会いに行ってるか?行くなら、2週間以内に行きなさい。」
ぼくは、「何で2週間以内だ?」と頭の中で思った。
理由はこうだ。
「温度差が変わる季節の変わり目に会いに行くからこそ、意味があるんだ。冬に行こうと思えば、誰だっていける。」と。
この温度差が激しい、いまの季節が一番体調を崩しやすい。
だからこそ、会いに行くタイミングを逃さずに、「いま」行けという意味だったのだ。
シルバーケアの面会は19時まで。
明日、婆ちゃんのところへ行こう。
欧風カレー・ガヴィアル
欧風のカレー屋さん
今回は、神保町にある欧風カレーのお店を紹介する。
そのお店の名前は「ガヴィアル」。いかにも、欧風を思わせる名前だ。
このお店に行こうと思ったキッカケは、友人に美味しいカレー屋さんを紹介する約束をしたから。
ぼくがよく訪れる街、神保町はカレーで有名な場所でもあるのだ。
その友人は、青梅にあるオープンスペース「寓」を紹介してくれた大学4年生。
学校では観光学を専攻しているらしい。街並みが古い神保町のことを話したら、興味を持ってくれたのだ。
ぼくは素敵な場所を紹介してもらったお礼に、カレーも含め神保町の良さを友人に伝えようと、意気込んでいた。
そして神保町駅で合流して、何のカレーが食べたいか3つ提案してみた。
スープカレー、フランス風カレー、欧風カレー。
決まって、フランス風カレーのボンディという有名なお店に向かったが、エアコンが修理のため臨時休業。
そこで、欧風カレーのガヴィアルに変更したのだった。
いざ、ガヴィアルで注文
なぜか欧風やフランス風という名前がつくカレー屋さんでは、ジャガイも一緒に出てくるのだ。先にバターで食べても、カレーに混ぜてもいいし自由。
友人が注文した野菜カレー。野菜がテカっていて衝撃を受ける。照明のせいじゃないか疑って、天井を2回ほど見上げてしまった。
ぼくが頼んだのはチーズカレー。香ばしいアーモンドとチーズがトッピングされている。
値段は1400円。カレーで1400円かけて食べるのは、生まれて初めてだった。
「高いから」と学生のときは、ガヴィアルの看板を無視。アウトオブ眼中。
でも、いま少し背伸びして食べたカレーは一生忘れないだろう。
とにかく、美味しかったのだ。食レポせずに、お互い黙々と食べるほどに。
食後あとの神保町
自分から行動して、出会ったひと。そこからさらに繋がって出会った友人やお世話になった人と時間を過ごせることは、気付かないだけでじつは幸福なのかな?
カレー屋を出たあとに、友人に神保町の魅力を説明して歩いた。
「あれは、じつはこんなお店でね。」
友人と会話をしていて、思ったことがある。
それは、街並みは変わらないけれど、お店やひとが変化していっていることだ。
学生だった頃に、夢中になって歩き回っていた神保町とは違う。
建物は変わらない。でも、お世話になったひとがもう居なかったり。
そもそも、お店がなくなっていることにも気付いた。大好きだったカフェもビル撤去のため、なくなってしまったのだ。
たった、1年。1年で、これだけ変わってしまったのか。
あのとき、あの場所に、あのひとたちが集まることはもう、2度とない。
もともとあったものが無くなっていく。
そして、違う場所でひとが集まり、 そして新しいコミュニティが生まれるのだ。
心に穴が空いたような気持ちもあるけれど、自分も街と同じように変化している。
1年前の自分より一ミリでも、前に向かって成長できているのかな?